バルザック『ゴリオ爺さん』

 

ゴリオ爺さん (新潮文庫)

ゴリオ爺さん (新潮文庫)

 

 出版:1835年

フランスの名著。ピケティがこの「ゴリオ爺さん」に格差について書かれいると話していたのを聞いて、読んでみた。結構面白く読めた。序盤は、古い小説にありうる、イメージが全然できない具体的な風景や人物の細かい描写ばかりで、少し読みにくかったが(「カラマーゾフの兄弟」のような)、途中からは、それはイメージできないだろうと割り切って、内容というか物語の展開の方に注目して読んでいくと、面白い物語だった。特に、ヴォートランが、ラスティニヤックとゴリオ爺さんを眠らせて、決闘に行き、どうなるのかと思いきや、ヴォートランは捕まってしまう展開のあたりは、中心人物の3人の思惑が見事に交差する場面として、印象に残っている。

あと、読みにくいなと思った点として、ヴォケー館の下宿人たちの登場人物が多くて、誰がだれのことだったか、分かりにくく、序盤はしんどかった。ネットで登場人物を調べながら読もうかとも思ったけども、小説を楽しむためには自力で頑張ろうと思い、頑張った。それと、「公爵夫人」「子爵夫人」とだけ書かれていて、固有名が書かれない場合が多かったから、慣れるまでは(慣れたのかな?)読むのが難しく、誰のことを指しているのかをいちいち確認しなければならなかった。